2017年9月13日 (水)

中心的規範への指向 UP539メモ

 原田晶子『中世後期への拡大』でベルント・ハムの論考を紹介している。
「中世後期では、まだ洗礼者ヨハネ、使徒ヨハネ(中略)など、様々な聖人が崇敬されていた。やがて宗教改革期に向かい、人々の救済の拠り所が、「聖書のみ」と「キリストのみ」に集約されていく」という。
「つまり中世後期の「中心的規範への指向」はキリストの受難に重きを置きつつも、非常に多様であったのだ。それが宗教改革期には、神の唯一の有効性へと集中していくのである」

 暗黒の中世というイメージは正しいのか、という疑問も生じかねない。

 ハムは「キリスト教以前の民間信仰の痕跡が色濃く残る中世一般信徒の信仰形態が、宗教改革や対抗宗教改革を通じて、現代の我々が知るところのキリスト教へと変容していく過程」を適切に捉えていると原田はいう。
 その上で、キリスト教共同体が「外部に対する境界線を形成」していき、「中世のイメージが強い魔女狩りが、実際には近世に最も盛んだったことも、キリスト教的な規範への指向が強まった結果」だと考えられるとする。

 プロテスタントは今風にいえばキリスト教原理主義であるということか。いずれにしても、ユダヤ・キリスト・イスラム=一神教という素朴な前提は一度見直した方がよろしいという話だろう。

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